【創作】信じるものは救われろ。【第二話/新しい家族】#2
案内された先にあったのは外観は洋風のこれは旅館かなにかか??と思わせるような大きな建物だった。
「おっきいねおにーちゃん!」
「え、あ、うん…」
「ははは、びっくりしてるようだね。君たちの様に他の転生者がここにくるかもしれないだろう?というわけでアメノウズメ様に頼まれて大きめに作ってるんだ」
「なるほど‥既にここに二人、ですもんね。」
「そうそう。さ、君たちの部屋に案内しよう。…と、一緒の部屋にしちゃったけど、構わなかったかな?」
「はい、寧ろいっしょがいいです。弟も小さいですし」
「それは良かった」
愛結に案内されてその大きな建物に入る。
大きな玄関フロアに靴を置いて案内されるままに部屋へ誘導される。
「ここが君たちの部屋だよ。好きに使ってくれ」
ドアを開けてもらうと六畳の部屋に二段ベッドと学習机が二つある部屋。
火事でなにもかも失った兄弟にとってそれは焼ける前の家の面影を感じさせた。
「必要な物があったら私に言ってくれ。準備できそうなものはするから」
「ありがとうございます」
「はーい!!」
「じゃあ荷物を置いたら居間においで。おやつを準備しておくよ。あ、今は玄関の右だから」
「わかりました」
そういって愛結は部屋を出ていった。
弟と部屋に2人きり。
施設から持ってきた荷物をタンスやクローゼットに丁寧にしまう。
目端にいる弟はぬいぐるみで遊びながら兄を待っている。
自宅が焼ける前とも施設ともなんら変わりない風景だが聖にはそれがとても幸せな事にかんじた。
ぼんやり弟を眺めていると
「おにーちゃんおわった?」
「あ、うん」
「じゃあおやつ!!おやつたべにいこ!」
「そうだな」
無邪気に兄に笑いかける弟。
まだ幼く両親の死すらよくわかっていない子だが聖にとってはそれがある意味救いでもあった。
小さな弟の手を引いて居間に向かう。
縁側がある日当たりのいい部屋だった。
「やぁきたね。じゃあおやつを出そうか」
今に入ると愛結がまるで父親のように二人に語り掛けてくれた。