【創作】信じるものは救われろ。【大人と子供の狭間】#4
一般的には痴女と言われても仕方のないような恰好ではあるがうっすらと目元に紅をひいており、はだけてるとはいえ白い着物に赤い袴。
そう、ぱっと見では痴女だがそれはまるで巫女のような姿だった。
「…巫女の…人…?」
「ほう、私が巫女であることもわかるとは。このような格好をしてる故中々気づかれない事も多いのだが」
「…それはその格好がよくないのでは…」
「ふふ、違いない」
「それで、貴方は?」
姿もさることながら話し方も現代人ではない上に何処か上から目線な様子だ。
「私は”天鈿女命(アメノウズメノミコト)”高天原より遣わされた天照大神様直属の巫女で神格だ。」
「神様…!まさかあの餓鬼たちをなんとかするために」
「ふむ、そうとも言えるしそうとも言えない」
「…と、言うと…?」
「お前達が神と崇める我々神族と神格は基本的にお前達人の子らの世界には干渉しない。人の子らはけなげにも我らに祈りを捧げるがな」
それは人の思い描く神の理想を打ち砕く
しかし、まさに神であると言わんばかりの言い分であった。
「--しかし、天照様はずっと葦原中国を慈愛の瞳で見つめておられる。干渉が許されない故、助けることはできんがな」
「・・・・」
前世の魂が大人であっても心の半分は子供でもある。
情報の量に聖は言葉を失う。
「まぁ、ぬしは転生者故話したいこと、頼みたいことは沢山あるが…」
アメノウズメは聖の腕の中の晶に目線を向ける。
「その子供をまずは休ませてやってはどうだ?」
「あ…」
そうだ、頭も打っている。はやく施設の医務室に運ぶべきだ。
気を失ってる弟を抱っこし足を施設の方向へ向けると背後から彼女が声をかける。
「私の話を聞きたければ、明日天鈿神社へくること。…お前の家族が死んだ理由についても離してくれよう」
「…えっ!?」
聖が驚いて後ろを振り返ると既に件の神格は姿を消していたーー。
「…まさか…」
心に疑念を抱きつつも、弟の手当てを優先すべく弟を抱えて施設への道を走り出した。