【創作】信じるものは救われろ。【大人と子供の狭間】#3
『死ね』
少年が思考を回している間にも餓鬼は兄弟ににじり寄り…
とびかかりその片手に持っていた棍棒で無力な子供二人をいとも簡単に嬲る。
哀れ幼い少年二人は簡単に突き飛ばされる。
晶は通学路の塀にぶつかり動かなくなる。
「晶!!」
地面に這いつくばり、弟の名前を叫ぶ。
勿論気を失った晶はその声に反応することはない。
動けなくなり更に無力になった子供を見逃す餓鬼ではなかった。
『まずはこのわらはより』
餓鬼の脚と目線は晶へと向かう。
「や、めろ…やめてくれ」
弟を”また”失う等
しかも目の前で失う等
前世の記憶がある聖には耐え難い光景だった。
痛む体を引きずって、力を振り絞って無理矢理立ち上がり弟を守ろうと駆けだす。
「やめろぉおぉぉおおおおおお!!!!!!!」
少年が叫んだ瞬間、少年の身体そのものからまばゆい太陽のような光が放たれた。
餓鬼はその眩しさに目がくらみ動きが止まる。
そしてが飢餓目を開けると餓鬼と倒れた晶の間には紫の衣を着た聖が剣を構えて立っていた。
『汝…転生者か…そは分悪し…』
聖の姿を見た餓鬼は目を細めると冷静にそう分析し、呟いた。
『今回ばかり見逃せど 次はあらず』
そういうと餓鬼は後方に跳ぶ。するとその背後の空中に真っ黒い穴があき、そこに吸い込まれるように餓鬼は消えていった。
無意識に剣を構えていた聖だが餓鬼が居なくなり緊張が解けたのか、ペタリとそこに座り込んでしまう。
しかしすぐハッとなって倒れている晶を振り返る。
抱き起すと呼吸をしており、彼が生きて居るという事実が聖をほっとさせた。
そんな彼の真後ろに再びなにかの気配が降り立った。
「ほう、面白い。お主、ほんとうに先程の餓鬼が申した”転生者”なのだな」
聖が振り返ると、上半身は晒しを巻き、着物を半分はだけさせた黒髪の女性が立っていた。